立川志の春さんのテキサス落語公演

 今年で3回目を迎えた立川志の春さんの落語公演は、5月1 日ヒューストンのUnited Way の会場を皮切りに、今年はダラス公演も加わり、サンアントニオも含めてテキサスの3大都市で行われました。

 立川志の春さんはイェール大学を卒業後、三井物産鉄鉱石部門にて3年半勤務。偶然通りかかって初めて見た立川志の輔師匠の落語に衝撃を受け、志の輔師匠に入門された異色の落語家です。古典落語・新作落語・英語落語も演じられ、多くの著書もあります。特に「誰でも笑える英語落語」は非常に好評で、立川志の輔師匠も「弟子の英語が本物だったとは!頼む。教えてくれ」と言われるほど。CD付きですので運転しながら英語の勉強が出来そうです。

 ヒューストンは初日、続いてサンアントニオで一日、ダラスでは英語と日本語の落語で二日連続の公演でした。サンアントニオではトヨタさんが中心となり小劇場で公演を行い、ダラスでは日本人会の皆さんが手伝ってくださいました。公演先では全て大好評で来年も来てほしいとの声が多く聞かれました。

 ヒューストン公演会の初め、志の春さんは過去2回の経験から、「テキサスの人たちの他人に関わる姿が印象的で、知らないもの同士の会話の量が多いことに驚きました。道端で、ホテルの廊下やエレベーターで、レストランや乗り物で。飛行機から出る時は、前の人を待って、何なら棚から荷物を降ろすのを手伝って、順番に出る。お節介なくらいに気を遣い、様子を聞く。How’re you doing? How’s your day? Need help? 関わり合って、みんなが機嫌良くすごすことに価値を置いている。で、金遣いは派手にパーっと、車にも見栄を張る。なんか…江戸っ子じゃん!」と。テキサスは落語が受けそうな場所と見抜かれました。

 ヒューストンの演目は、「初天神」、新作落語の「だいじなもの」、「寝床」で、あいだに英語版寿限無JUGEMUが入りました。子供さんが多く来られていましたので演目も調整されたようです。

 「初天神」は父と子のやりとりを面白おかしく描いた古典落語で、志の春さんの子供役がはまっていました。ワガママが過ぎた金坊に、父親がついにゲンコを落とすくだりに金坊が「お父っあんが叩いたから舐めてたアメ玉が落っこちた」「何、どこに落っことした」「お腹の中に落っこちた」というオチで締めくくられました。

 続いて立川志の春さんの新作落語「だいじなもの」。孫のたかしが父の転勤でアメリカへ行くことになったため、おじいちゃんがすき焼きをご馳走してくれる。アメリカで友達が出来るかどうか心配をするたかしに、日本のことを色々と教えてあげればいいとおじいちゃんはアドバイス。日本のどんなこと?と聞くと、日本に昔から伝わる言い伝え、と答えるおじいちゃん。なぜ、食べた後ですぐに寝ると牛になるのか?なぜ、手の冷たい人は心が温かいのか?そんな話を通じて、実は身近で気づかないようなところにも「だいじなもの」は転がっているのではないかと志の春さんは問いかけました。たいへんハートウォーミングな新作でした。

 そして上方落語の中でも特に人気の高い噺の一つ「寝床」。主人公の旦那の、ど下手な浄瑠璃が周りの人に迷惑を及ぼすという設定で、最後のおちはいろいろ想像させられる場面でした。志の春さんは多くの登場人物を見事に表現されていました。

 最後に志の春さんからは「たくさんのお客様にご来場頂きとても嬉しかったです。人がフレンドリーなヒューストン、テキサス、大好きです。又機会があればぜひ伺いたいです。」とのお言葉を頂いていますので、来年もヒューストンにお越し頂く予定です。

 
 

**立川志の春さんの略歴**

落語家。立川志の輔の3番弟子。
大阪府豊中市生まれ。千葉県柏市で育つ。
・幼少時と学生時代合計7年間を米国で過ごす。
・米国イェール大学卒業後、三井物産にて三年半勤務。その後、立川志の輔門下に入門。
・古典落語、新作落語、英語落語を演じる。
・2012年9月シンガポールにてSingapore International Storytelling   Festivalに参加。
・2013年1月より半年毎にシンガポールで単独公演を実施。
・大学、企業にて英語落語を交えた講演多数。
・2013年10月NHK新人演芸大賞<落語部門>本選出場。
・2013年度『にっかん飛切落語会』奨励賞を受賞。
・2013年12月「誰でも笑える英語落語」(新潮社)を出版。
・2014年11月『あなたのプレゼンに「まくら」はあるか?落語に学ぶ仕事の ヒント』(星海社新書)を出版。
・2015年2月「自分を壊す勇気」(クロスメディアパブリッシング)を出版。
・2016年7月週刊ダイヤモンド「落語にハマる」でのコメント
・2017年10月米国ヒューストンでの初公演

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